2015年05月25日

それは確かに。

オレンジ色が昨日より濃い半月。
その少し離れたところに星が一つ。
まるで砕けた欠片の一つが、
そこに漂っているかのようで、星の舟の話を思い出した。


小さいころの話。
夜更かしが好きで、朝寝坊が好きなボクは、
太陽よりも月が好きだった。
太陽は眩しくて目を背けてしまうけど、
月はずっと眺めていられたし。

真夜中、散歩するのが好きで、
パジャマから着替えて、
そっと家から抜け出しては、
眠りについた街を歩いたものだ。

真夜中の月は、何だか自分だけの物みたいに思えてドキドキした。

公園のジャングルジムに登り、
月に触ろうと手を伸ばした。
届かない。届かない。


オトナになって、いつしかそれは一つの象徴になっていたけれど、
届かないはずの月に、5月のある日、手を伸ばすと、指先がーーーーそっと月に触れた。

誰も信じてくれないだろうけど。
この手のひら、この腕のなかに。
それは確かに存在したんだ。
posted by 中神謙一 at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記