2015年09月21日

「静かだった。」

劇中、男はそう語る。

「静かだった。それが印象に残っている。」

実際には色んな音が聞こえていただろうが、そう思ったんだと。
自分の耳がおかしくなったような気がした、と。


真夜中に起きていると、そういう時がある。
夜と朝の間の、そのどちらでもないような時間。
周囲は眠りにつき、新たに目を覚ますまでの間。
まるで生きているのが自分だけみたいに、とても静かに感じる時がある。
全ての音が遠のいていくような気がする。

手を止めて、横になる。
目を瞑り、耳を澄ましてみる。
これくらい静かなら、ひょっとして遠く離れた微かな声が聞こえるんじゃないか、そんな風に夢想する。
こんなにも静かなら、普段聞こえない自分の声に耳を傾けていられるんじゃないか、なんて事を考える。

でも、しばらくすれば世界はまた動きだして、音があふれ出す。
か細い声はかき消されてしまう。
でも、それはそこにいるのだ、と思う。
にぎやかな昼の喧騒に埋もれているけれど、最後の蝉のようにまだそこで鳴いているのだ。


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posted by 中神謙一 at 15:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記