2015年10月26日

妖精チャックとお化けカボチャ 1

妖精チャックは葉っぱの妖精。
ランタン草に暮らす、いたずら好きの妖精の男の子です。
妖精チャックは葉っぱの妖精。
いつも何かおもしろいことはないかと探しているのです。

「あーあ。何か面白いことはないかなぁ」

それは10月のある日のことでした。
チャックは川べりにならぶ大きなダンロ石の上で大きなあくびをしながら、そうつぶやきました。
目の前を流れる川の水面に、少しだけ傾いた太陽の光がキラキラと輝いていて、とても気持ちのいい午後でした。
木々に茂る葉は、少しずつ色を変えて、秋の気配が漂っています。
けれど、どうやらそれがチャックには退屈に思えてしまうようです。

「あーあ…」

チャックはもう一度そうつぶやくと、ごろりと横になりました。
太陽に暖められたダンロ石は、じんわりと暖かくて、なんだかとても気持ちいいのです。

「ダメだダメだダメだ」

チャックは慌てて起き上がります。
なぜって、昨日もこうやって、このダンロ石の上でお昼寝してしまったのです。

「このままじゃ、またあっという間に一日が終わっちゃうよ!…ん?」

ダンロ石から、ぴょんと飛び降りたチャックは、目の前の川を何かが流れてくるのに気が付きました。
最初は小さな卵のようだったそれは、ぷかぷかくるくる、流れに乗って沈んだり、浮かんだりを繰り返しながら流れてきます。
けれど、近づくにつれ、それは卵からリンゴくらいの大きさになり、さらに近づくと、もっともっと大きなものだとわかりました。

「カボチャ…?カボチャだ!」

チャックは驚きました。誰がカボチャを落っことしたんでしょう。
でも、チャックが本当に驚くのはそのあとでした。

「おおい!おおい!」

何やら声が聞こえます。

「おや?誰だろう?」

チャックが辺りを見回しても、そこには誰も見当たりません。

「おおい!おおい!そこのお前!…ガボッ!…こっち!こっちだ!」

チャックが声に呼ばれて振り返ると、その声は、どうやら流れるカボチャから聞こえるのでした。

「ええ?」
「おおい!たっ助けてくれっ!…ガボボボボ!」

驚いたチャックは、水面から顔を出している石の上をぴょんぴょんと渡りました。
大きなカボチャは、ぷかぷか・くるくると流れてきます。
川の真ん中まで来たチャックは、どうにか目の前に流れ着いたカボチャを拾い上げることができました。

「ガボボボボ…ふぅ、助かったぜ」

チャックは目を真ん丸にして驚きました。
川から拾い上げたそのカボチャには、三角の目と大きな口、そう、顔が刻まれていたのです。

「やっぱり、カボチャがしゃべってる!」


つづく

I Think

昨日借りてきたばかりの漫画も読み終えて、
図書館で借りてきた本にちょっとだけ目を通して。

落書きみたいに線を引いて、
片付けるものを片付けて、
文章を書いて。
でもそれはどこか無味無臭で味気ない単語の羅列に思えて消してしまった。
いつも文章を消すときに思う。

この言葉はどこへいくんだろう。
そこに含まれる意味や、重さはどこへ行くんだろう。
消滅。
拡散。
いつも、少し、残酷な気分になる。

言葉が浮かぶ前に、そこにはその核となるイメージがあって、
その核は確かにボクの中からうまれたボクの一部で、
それをボクは時に自らの意思で、消滅させる。拡散させる。
誰の目にも触れない間に、その存在と意味を、なかったものにする。

それが正しい判断なのか、いつも考えている。

I Think


そうやって、でも、自分で消してしまった言葉にこそ、
自分の本当があるのかもしれない。
でもそれはもう、誰にも届かないのだ。

だから考える。
ボクだけが、その消えてしまった言葉を知っている。

posted by 中神謙一 at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記