2014年08月19日

妖精チャックと星の舟D

舟が波に乗るように、
星の舟は夜空の波に乗っていきます。

ふわんふわ、ゆらんゆら。

とても良く似ているけれど、やっぱり海の波とはどこか違う不思議なリズムで夜空を進んでいくのです。

さらさら・さららん。
さらさら・さららん。

星の舟が夜空を進むと、かすかに音がします。
チャックは耳を澄ませてその音を聞いています。

さらさら・さららん。
さらさら・さららん。

それはまるで、キラキラとした砂が砂時計の中で零れ落ちるような、
かすかな、でもとても澄んだ音色でした。

「星の歌だよ」舵を操りながら、キラがそういいました。「星の舟が夜空を渡るとき、舟の舳が空流を切る時になる音。それをボクたちは星の歌っていうんだ」
「へえー!」
チャックは首を伸ばして舳を覗きます。
みれば舳は確かに波のような何かを切り裂きながら進んでいきます。
一瞬、切り裂かれた夜空は、薄く金や銀の光を放ちながら広がっていくのです。
きっと大地から見上げれば、流れ星のように見えたことでしょう。

右にも左にも上にも、そして下にも星が瞬いているその中を
星の舟に乗ってチャックとキラは進みます。

ふわんふわ、ゆらんゆら、さらさら・さららん。
ふわんふわ、ゆらんゆら、さらさら・さららん。

ぷかぷかでもない、ふわふわでもない、不思議な感覚です。
チャックはこんなにもたくさんの星があるなんて!そう驚くばかりです。

「さあ、ついた!」

キラがそういって星の舟が進むのを止めました。

(Eにつづく)
posted by 中神謙一 at 01:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 妖精チャックと星の舟
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