2014年08月20日

妖精チャックと星の舟E

そこは夜空の真ん中でした。
気づかないうちに、星の舟はずいぶん遠く、高くまでやってきていました。

チャックはあたりを見回します。
大きな星、小さな星、赤い星、青い星、黄色い星、オレンジの星。
たくさんの星があたりに浮かんでいます。

「ごらんよ、チャック」

そう言って、キラは夜空の一角を指差します。
そこにはオレンジに輝く星が、ふうわりふうわりと、膨らみながら浮かんでいくのが見えました。
それはなんだか熱く焼けたガラスをふぅと膨らます様にも似ていました。

「何だい、あれ。星が大きくなっていく!」
「そうさ。時間がたった星は、成長して、膨らんで、ああやって少し上の空流に上っていくんだ」
「星が?成長だって?」
「そうとも!草や木だって成長するし、星だって大きくなる」
「大きくなった星はどうなるんだい?」
「大きくなった星はどんどん夜空に上っていくんだ。ほら、あそこに見える黄色い星。あれはそこにみえる青い星よりずっとずっとずーっと遠くにあるんだ。ただ何十倍も何十倍も大きいから、まるで同じくらいの大きさに見えるけれど」
「本当に!?」
「ああ。そして最後には、一日の終わりの太陽のように砕けてしまうんだよ」
「そうなんだ…」
「だからボクたち星のこどもは、こうやって、昇っていった星の代わりに、新しい星を連れて来て、星座を形作っているのさ」

キラはそういうと、長柄のついた網を取り出すと、少し下の空流に浮かぶ星をそっと掬って、
さっきまでオレンジの星がいた場所に、そっと浮かべました。
星は少し身震いするように揺れて、今度はその場所で瞬きはじめました。

(Fにつづく)
posted by 中神謙一 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 妖精チャックと星の舟
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