2014年08月24日

妖精チャックと星の舟G

ふわんふわ、ゆらんゆら、さらさら・さららん。
ふわんふわ、ゆらんゆら、さらさら・さららん。

星の舟に揺られながら、チャックは自分が暮らす世界と、
その世界に近しい仲間たちのことを考えました。

仲良しのマーチや、夜の海で出会った真珠の国の王様たちのことを考えました。

チャックが、すぐ近くにいると感じていた友達たちは、
実はあの遠くに輝く黄色い星のように、本当はずっとずっと遠くの世界にいて、
ただ、そう見えていただけなのかもしれない。

何だかそう思えてきたのです。

届いていると思っていた声は、
実のところ届いてなんかいなかったのかもしれない。

もしもそうだとしたら、ひどく寂しいではありませんか。

「そうかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。」
「かもしれない?」
「キミとキミの友達は、近くに見えていても、本当はとてもとても遠く離れているのかもしれないし、実はすぐ近くにいるのかもしれない。それは誰にも――キミにも、その友達自分自身でもわからないことなんだ」
キラは星の舟を漕ぐ手をとめて、そう言いました。
「この星空みたいにね」

チャックはもう一度、夜空を見回します。

あれほどキラキラと美しく、楽しく思えた星の輝きが、少し色あせてしまったように感じました。

「それじゃあ、ボクは、ひとりぼっちじゃないか」チャックはつぶやきます。「こんなにも夜空が、星の世界が寂しいなんて、思ってもみなかった」
「違うよ、チャック。」キラはゆっくりと首を振ります。
「キミはひとりぼっちなんかじゃない」
「でも」
「だって、ボクたちは友達になったじゃないか」
キラは優しく微笑みました。
「どんなに遠く離れていたって、あきらめなければきっといつか声は届くし、暮らす世界が違っても、こんな風に友達なれる。ごらんよ、チャック。」

キラは星空の一角を指差しました。
そこには――近いのでしょうか、それとも遠いのでしょうか、まばらに星が光っています。

「あの星と星の間には、見えてないだけで、遠くの遠くに、またいくつもの星があって…それをつないで、これからまた、いくつもの星座が生まれるんだ」
「新しい星座が生まれる?」
「そう、ボクとキミが友達になったように。だから、ねえチャック、今度はその星座を、一緒に星の舟で巡ろうよ。まだ見ぬよすがを辿って――そこにはまだ知らない出会いや、光があるから、だからあの夜空はちっとも寂しくなんかないんだ」

キラの言葉を聞き、もう一度チャックが星空の一角を見上げると、
星はそれに応えるようにキラキラと光りを放ちました。

(Hにつづく)
posted by 中神謙一 at 05:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 妖精チャックと星の舟
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