2014年12月24日

妖精チャックとクリスマスプディング その2

 外は冷たい風が吹いていました。
 風はひゅぅぅるるひゅぅぅるると笛を鳴らしています。そんな寒い道すがら、それでも二人はわくわくしながら話ます。
「ねえマーチ、その魔女の作るクリスマスプディングは、いったいどんな風だろう?」
「さあ、とにかくとても美味しかったってことだけど」
「ナツメグ、イチヂク、レーズン、チェリー…クルミやナッツもたくさん入れてほしいな」
 チャックの言葉に、マーチのお腹がぐぅ、と応えました。
「ボクはたっぷりのラムバターも添えてほしいな」
 マーチの言葉に、今度はチャックのお腹がぐぅと鳴ります。

 魔女が住むという洞窟は、ねじくれの木が並ぶアルベーロの森の奥にあります。
 いつもは不気味に思える森も、今日はそれほど怖くありません。
 だって、森の奥から漂っているのは甘くて芳醇なクリスマスプディングの匂いなんですもの。

 チャックとマーチは我慢できずに、森の奥へ奥へと駆けて行きます。
 甘い匂いをたどっていくと、とうとう洞窟の入り口に辿りつきました。そこが魔女の住む洞窟です。

「ごめんくださーい」

 入口から中を覗き込みながら、チャックが声をかけます。けれど返事は聞こえません。
 二人は顔を見合わせ、洞窟の中へと足を踏み入れました。
 洞窟の中は右へ左へ上へ下へと大きな蛇のお腹の中みたいにうねうねと続いています。
 チャックとマーチが甘い匂いを頼りに進んでいくと、やがて二人は魔女の調理場に辿りつきました。
 そっと覗き込むと、蝋燭の灯りの中で、魔女は大きな窯を覗き込んでいます。
 けれどその周りにはクリスマスプディングらしきものはありません。
「ねえマーチ、あの窯でプディングを焼いているのかな?」
 小さくチャックがそう言うと、
「誰だい!お前たち!」
 二人に気づいた魔女が振り返りました。魔女はぎょろりとした大きな目でチャックとマーチをぎょろりと睨みつけてこう言いました。
「ここが誰の家だかわかって来たんだろうね!」

(その3につづく)
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