2014年12月24日

妖精チャックとクリスマスプディング その3

 ぎょろりと睨む魔女の眼は、ランランと赤く輝き、そのあまりの恐ろしさに、マーチはチャックの後ろに隠れてしまいました。
 それでもチャックは勇気を振り絞って話しかけます。だって、どうしてもクリスマスプディングが必要なんです。
「あの、ボクたち、お願いがあって来たんです」
「お願いだって?何だっていうんだい!」
 魔女は何かに腹を立てているかのように話します。
「実は、あなたが作るクリスマスプディングがとても美味しいって聞いて。な、マーチ?」
「あ、ああ、うん。そうなんです」
「だから、そのクリスマスプディングを分けてもらえないかと思ってきたんです」
 おっかなびっくり二人がそういうと、魔女はその高い鷲鼻をひくひくっと動かして、
「クリスマスプディング!そうかい!あたしのプディングを食べたくて、わざわざ?」
「う、うん。」
「そうかいそうかい!」
 魔女はさっきまでの仏頂面が嘘のようににっこりと笑うと、
「さあさあ、そんなところじゃなくて奥へお入り。ほら、そこに座りな。今、温かい物を淹れてあげようね」
 そう言うと、長い爪の指をパチン!と鳴らしました。
 チャックとマーチのもとへ、するするとカップが飛んで来ました。
 小さな暖炉に火が点くと使い込まれた小さな鍋がその上に浮かびます。
 魔女が小瓶から茶色い粉を淹れ、ミルクを注ぎ、またパチンと指を鳴らすと、小さな匙が飛んできて、くるくると鍋の中をかき回します。
「ココアはようく練った方が美味しいからね」
 魔女の言うとおり、それは今までに飲んだことがないほど甘くてあったかくて美味しいココアでした。
 チャックは思いました。

―こんなに美味しいココアを淹れることが出来るんだ。きっとクリスマスプディングも美味しいに違いない!

(その4につづく)
 
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