2014年12月25日

妖精チャックとクリスマスプディングその6

 チャックとマーチはダンテじいさんが教えてくれた材料の在処を目指します。
 魔女が書いたクリスマスプディングの材料は、二人が暮らすこのファンタジアのあちこちに散らばっているとても珍しい物ばかり。いくら魔女が作るプディングでも、急がなければ間に合いません。
 マーチが心配そうに言います。
「大丈夫かな、チャック。魔女は一つでも材料が欠けたら作れないって言ってたよ?本当に全部集まるかな?」
「大丈夫さ」チャックは自信満々に答えます。「いい考えがあるんだ」
「いい考え?それってどんな?」
「それはね…」
 チャックはにっこり笑ってマーチにその考えを伝えました。
 するとマーチもにっこり笑顔になりました。「うん、それならきっとうまくいくよ!」
「じゃあマーチは西の草原に。ボクは東の山に」
「うん!」
 二人は材料を集めに駆け出しました。


 洞窟の魔女はそわそわ、そわそわしながらチャックとマーチを待っています。
 調理場の真ん中には大きな鍋が浮かび、中ではぐらぐらとお湯が沸いています。
 魔女は調理場をそわそわウロウロ。
 ウロウロ、ウロウロ。
 そわそわ、そわそわ。
 三歩歩くたびに、壁を流れる水時計をぎょろりと睨みます。
「まったく!何してるんだい、あのコたちは!」
 チャックとマーチが洞窟を飛び出して、もう何時間たったでしょう。魔女は一輪挿しに刺さっていた百輪草を手に取ると、その花びらを一枚ずつちぎり始めました。
「間に合う、間に合わない、間に合う、間に合わない、間に合う、間に合わない……」
 魔女がちぎる色とりどりの花びらは、ひらひらと鍋の中に落ちていきます。
 花びらはお湯に落ちるとすっと溶け、その度にお湯は赤、青、緑、黄と色を変えていきます。
「間に合う、間に合わない、間に合う、間に合わない、間に合う、間に合わない……」
 とうとう最後の花びらになったその時です。
「間に合った!」
 チャックとマーチが魔女の調理場に駆け込んできたのです。
 
(その7へつづく)
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