2014年12月25日

妖精チャックとクリスマスプディングその7

「あんたたち!」魔女は大きな声でそう言いました。「材料は?全部そろったのかい?」
 チャックとマーチはにっこり笑って答えました。
「もちろんさ!ほら!」
 二人が抱えた大きな袋の中には、虹のように色を変える七色プラム、ぷるぷると震えるほど瑞々しい水干し柿、ルビーのように赤いちじく、透き通るような青葡萄。金色リンゴもミルククルミも双子ナッツもキラキラ輝く星の粉砂糖も、その他、魔女が書きだした13の材料が、すべてそろっていました。
「たいしたもんだよ、あんたたち!」
 魔女は大喜びです。
「みんなに協力してもらったんだ」とチャックが胸を張ります。
「みんな?」
「そう。水干し柿はナマコのテクテクとヒトデのステラ、金色リンゴは夜明けどりのズーズーとグーグーに、星の粉砂糖はハーピーのリップに」
「ミルククルミと双子ナッツを取りに行くために、コドモクジラの背中に乗っけてもらったり、七色プラムは真珠王様と女王さまに分けてもらったんだよ」
「そうかいそうかい。ああ、どれも極上の品ばかりだね。これならとびきり美味しいクリスマスプディングが作れるよ!」

 さっそく魔女はクリスマスプディングを作り始めました。
 チャックとマーチは興味津々でそれを眺めます。

 魔女が百輪草の最後の花びらをちぎって鍋に入れると、お湯はお月様みたいな銀色に輝きだしました。
「さあ、始めるよ」魔女はその銀色のお湯でボウルを温めると、今度はボウルの中にそっとそおっと材料を入れていきます。「いいかい?クリスマスプディングには13の材料が必要なんだ。そのうちの一つでも欠けたら、それはもう、本物じゃないんだよ」
「へえ!知らなかった!」
「ボクもだよチャック」
 チャックとマーチは魔女のクリスマスプディング作りから目が離せません。それはまるで不思議で神聖な儀式のようなのです。
 チャックたちが集めた全ての材料をすべて入れると、そこにスエットやバター、ナツメグ、オレンジピール、そしてたっぷりのバターをいれてこう言いました。
「さあ、かき混ぜるよ。お前さんたちもやってみな」
「いいの?」
 チャックとマーチは大喜び。
 実はさっきからやってみたくて仕方なかったのです。
「いいとも。ただし、かき混ぜるのは必ず時計回りだよ。願い事を心の中で唱えながらかき混ぜるといいんだよ」
 教えられたとおりに、チャックとマーチはクリスマスプディングをかき混ぜます。
 じっくり、ゆっくり、丁寧にかき混ぜます。
 クリスマスプディングには、正当な作り方があるのです。

(その8につづく)
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