2015年10月27日

妖精チャックとお化けカボチャ 2

チャックに抱え上げられたカボチャが言います。

「ガボガボ。ちょっとかたむけてくれ」

言われたように、チャックがカボチャを傾けると、中から川の水がじゃばじゃばと流れ出て、中に溜まった水がすっかり空になると、カボチャが言いました。

「ふう!助かったぜ!ありがとうよ、小僧!」
「小僧じゃないよ。チャックだよ」チャックはそう言いながら、改めてカボチャを眺めました。

オレンジ色をした大きなカボチャは、チャックの頭より大きくて立派です。
その立派なカボチャに刻まれた三角の目と鼻、そしてギザギザの口が刻まれ、そこから空っぽの中身が見えました。

「チャック!変な名前だな!」とカボチャが言います。
「変じゃないよ!キミこそ誰なんだい?」
「は?コイツはおどろいた。チャック、お前俺を見て、誰だかわからんのか?」
「カボチャだってことはわかるけど」
「違う、違う。カボチャはカボチャでも、ただのカボチャが喋ったりするもんか。」
「じゃあ…?」
「やれやれ、俺だよ、俺。ジャック・オ・ランタンさ!」
「ジャック?」
「おいおい、まさか名前を聞いてもわからないっていうのか?」
「初めて聞く名前だよ。とにかく、キミは…ジャックって言うんだね?」
「おい、小僧。ちょっと顔の向きを変えてくれ。俺様に周りの景色を見せてくれ」
「小僧じゃないよ。チャックだってば」
「いいから、早く!チャック!」

チャックは言われたとおりにカボチャのジャックを高く掲げて、ぐるりと回ってやりました。

「なんてこった。ここは一体どこなんだ?」
「どこ?ここはファンタピアだよ」
「ファンタピア?なんだそりゃ?聞いたこともない場所だ。随分遠くまで流されちまったってことか!」
「ねえジャック、キミ、いったいぜんたい、どうして川を流れて来たんだい?ううん、そもそも一体どこから来たんだい?」
「それどころじゃねぇんだよ、チャック。俺は早く戻らなきゃ。いつまで抱えてるんだ、はやく降ろせって!」

ぷりぷりと怒り出したカボチャのジャックを、チャックはそっと川沿いの草原におろします。

「あばよっ世話になったなっ!」

そういうと、ジャックは川上を目指して歩き出そうとします。

「えいっ。えいっ。ちくしょうっ。なんで進まないんだ」

もちろん進むことなんて出来ません。
だってジャックは頭だけ、手も足もないんですから。

「ねえ、ジャック」見かねたチャックが声をかけます。「キミがどこに行こうとしてるのか知らないけれど、連れて行ってあげようか?」
「え?…本当か?」
「うん。だって面白そうだもの!」

そうして、チャックはカボチャのジャック・オ・ランタンを抱えて、川を遡ることになたのです。

つづく。
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